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2025.03.27
ティソ今年の大本命は次世代のソーラーウォッチ
今までのソーラーウォッチとは、別モノです!

「PRC 100 ソーラー」。クオーツ。径39㎜。SSケース&ブレスレット。100m防水。7万2050円。
スイスの名門ティソが今年一番本腰をいれている大本命、それがここに紹介するソーラーウォッチの新作だ。「ソーラーウォッチって、特別新しいこと、なくない?」そんな風に思う人も多いだろう。
ティソはスウォッチ・グループで唯一ソーラーウォッチを展開しているブランドだが、ソーラーウォッチ自体は、日本の時計ブランドを筆頭に、数多くのブランドが時計をリリースしている。
ティソで言えば、人気の定番コレクション「T-タッチ」が、すでにソーラーシステムを採用しているが、ではこの新作はいったい何が、違うのか。結論から伝えしてしまうと、光をエネルギーに変換するソーラーセルがセットされている「場所」と「形状」が、今までの時計とは全く異なるのである。

よく見るとハニカム状の線がうっすら見える。正面から見るとあまり見えないが、斜めから覗き込むと姿を現す。
通常、ソーラーウォッチのソーラーセルは、文字盤の「下」にセットされている。理由は単純。「上」で邪魔をしては、文字盤のデザインに大きく影響するからだ。そしてソーラーセルを「下」に取り付ける場合、文字盤は光を透過できるよう、透過性の高い仕様が求められた。
ティソは、この難題を、どうやって克服したのか。それがサファイアクリスタル風防の直下にセットされた極薄ソーラーセルである。パッと見では、そのソーラーセルは、ほぼ確認することはできない。しかしルーペから拡大して覗き込むと、「ハニカム構造」のソーラーセルが浮かび上がる。
文字盤の美しさを損なうことはないが、よく目を凝らして見れば、その特徴的なハニカム構造が「見える」ようにしたところが、なんとも心憎い仕掛けである。このソーラーセルは自然の光だけではなく、人工の光でもエネルギーを変換することが可能。

風防の直下にセットされたハニカム構造のソーラーセルはシート状になっている。四角い小さなパーツがエネルギーをムーブメントに伝えるゼブラコネクター。
光のエネルギーは、ケースサイドにセットされたコネクターを通して、アキュムレーターに蓄えられ、フル充電時には暗闇でも14ヶ月間の連続駆動が可能となる。ちなみにわずか 10 分間の受光(典型的な 1 日の光量が 5000 ルクスの場合)で 24 時間分の電力を蓄えることができるため、毎日数分間の着用だけで、時計を半永久的に使用することができる。
ティソは、この「ライトマスター ソーラー テクノロジー」を、関係性の高いETA社やニヴァロックス社、コマデュール社などを含む6社と協力することで完成させた。その投資額は、なんと20万スイスフランになるという。

左からブラックダイアル、ブラックPDV(T151.422.33.051.00)7万9200円。シルバーダイアル(T151.422.11.031.00)7万2050円。ブルーダイアル(T151.422.11.041.00)7万2050円。
ここまでテクノロジーの話しかしていないが、そのメカを搭載した「外装」も、実に魅力的である。新作のモデル名は「PRC 100 ソーラー」。1980年に「PR 100」としてデビューし、2005年に個性的なデザインで人気を集めた「PRC 100」のコレクション名が、ソーラーウォッチとして復活を果たしたのだ。
ちなみにPRCとは、「Precise(精密)、Robust(堅牢)、Classic(クラシック)」のことで、「100」は100m防水仕様を意味している。今回発表された機種は全部で6種。ケースの素材はすべてステンレススチールで、そこにブラックPVD仕様のモデルと、ブレスレットとレザーストラップが組み合わされる。

ケース厚は9.22㎜。ブレスレットのコマの可動域も広く、装着性は極めて高い。
ケースの直径は、大きすぎず小さすぎない絶妙の「39㎜」。そこに程よいボリュームが感じられるアイコニックな12角形のベゼルが組み合わされることで、シンプルでありながらも、しっかりと自己主張する時計に仕上がっている。なお、39㎜モデルの他に、さらに小ぶりな「34㎜モデル」も、年内に投入されるとのことだ。
商品の問い合わせ/ティソ公式サイト
文・構成/市塚忠義